好き、嫌いは否めない

日記に嘘を混ぜ込んで、ショートショートを書いています。

短編小説

失恋キリン(短編小説)

「でも、〇〇はひとみちゃんの事、好きだったんだよね。」 コロナ禍が明け、久しぶりの同窓会だった。それを主催したKが斜向かいから僕に言った。 「なんでそういうこ事になってんのよ。」僕は飲めないビールをごくりと飲んだ。 「だって、美術の時間にひと…

バスクチーズケーキと初めての日(短編小説)

右耳の奥に水が入ったのか、詰まった様な感覚がある。違和感を覚えたのはいつからだろうか。綿棒で取ろうとしても、右耳を下にして水が抜けるのを待っても、一向に水の抜ける様子はない。それがずっと続いている。首を振るとガサゴソと音がした。 「中耳炎か…