燃えるゴミですか、燃えないゴミですか、と聞かれ、一瞬戸惑ったが平然を装い「燃えるごみです。」と答えた。通行を認めるアルミ製のカードを渡され、誘導にしたがってレンタルした軽トラックを其処につけた。
其処には大きな穴が空いていた。覗くと吸い込まれそうな大きな穴だった。
軽トラックいっぱいに積まれた燃えるゴミをその穴に放っていく。
椅子を放り投げると数秒かかってカシャンとガラスの割れた様な音が響いた。
それから布団を放り投げ、カラーボックスを放り投げ、テーブルを放り投げ、名の知れぬ絵を放り投げ、牛の角を放り投げ、キジの剥製を放り投げた。
どれだけの高さがあるのだろう。ふと気になり、大きな穴の底を見てみたいという願望に駆られた。
僕はその穴に反射的に飛び込もうとした。
「時計は燃えないゴミですね、外してから飛び込んでください。」と係員は笑った。