好き、嫌いは否めない

日記に嘘を混ぜ込んで、ショートショートを書いています。

名前がない(ショートショート)

 

ない、私の苗字の判子だけが売れ切れだ。

得意先の返品に応じる際、ここに判子を押してください、と初めて言われた。

サインじゃダメですか、と問うも前任者は普通に押してましたよ、との事。

近くの百均を白み潰しにあたるもダイソーもない、セリ◯もない、キャ〇〇ゥもない、

ワッツ◯ィズもない、私の名前が何処にもない。来週は来れないしな、とスケジュール帳に目をやる。週末のイベントは外せない、新店の助成物搬入も飛ばせない、やはり今日片付けたい案件ではあるが・・・決めた!

もう一件の得意先回りを諦め判子探しの旅に出よう。海近くのイオ〇モールだったら必ずあるはず。ついでに気になっていたお寿司屋さんの千円ランチを食べよう。海を眺めながらのお寿司はどんなだろう。

〇〇〇〇さん、同じ苗字の人いるから押しときますよ。無理です。時、すでにお寿司。