好き、嫌いは否めない

日記に嘘を混ぜ込んで、ショートショートを書いています。

ミイラ鳥(ショートショート)

古屋の二階に山ほど鳥籠があり、処分しようとしたのだが、金属製の物は不燃物でいいとして、木製の物は所々に針金があり、分別に難儀した。鳥籠は裕に二十もあった。

最初の頃は針金を一本一本切っていたのだが埒が明かない。

金槌で籠ごと壊し、針金を抜く方法に落ち着いた。

何にも考えず、ただ鳥籠を壊していった。その中の一つに雛鳥と思われる鳥のミイラがあった。

頭蓋骨やクチバシ、翼が確認できる。一体、何をどうしてこうなったのか、可哀想だが可燃物の袋に投げ入れ作業を進めた。全部の鳥籠を解体した頃にはもう日も暮れていた。

鳥籠の処分が終わっても尚、破壊衝動は鎮まらず、今度は古屋自体を壊し始めた。

トタン屋根を剥がし、床に敷き詰めてあったベニア板を剥がし、土壁を粉々にし、鉄骨の支柱をハンマーで叩いて壊した。

 

三日三晩、不眠不休で古屋を壊し続け、そこで意識を失ったらしい。