高校野球二回戦、花巻東とクラークの対戦を見ていたのだが、クラーク国際の新岡投手に目を奪われた。オーバースローからキレのあるスライダーを投げ、サイドから右打者インコースをえぐるシュートを投じ、アンダースローでタイミングを外す。プレートの幅を使ってのマウンド捌き、打者を欺くクレバーさ。
単打はあれど連打を許さず、花巻東は完全に攻めあぐねていた。
そして八回、クラークが花巻東の二番手ピッチャーの立ち上がりを攻め、ワンアウト1、3塁。と、その時、運命の悪戯か、大雨で試合は一時間半の中断となる。
豪雨の中、クラークのブラスバンドの銀河鉄道999が演奏が甲子園を沸かせた。
「さぁ行くんだ。その顔を上げて」
試合後「最後は自分が打たれて、みんなに申し訳ない」嗚咽しながらインタビューに答える彼を見て、私は目頭が熱くなった。
負け犬には泣ける程の敗北さえなかった。